駐ハイチ日本国特命全権大使 挨拶

令和3年12月3日
駐ハイチ日本国特命全権大使 久保雄嗣
 12月3日に駐ハイチ共和国特命全権大使として着任しました久保雄嗣(くぼ ゆうじ)と申します。
 
 ハイチも含めた中南米諸国では初めての在外勤務となりますが、これまで、フランス、セネガル、チュニジア、カナダ(モントリオール)といった仏語圏で勤務してまいりました。
日本とハイチの外交関係が再開されたのは1956年に遡りますが、2021年1月、従来あった大使館(兼勤駐在官事務所)が正式に格上げされ、在ハイチ日本国大使館が新設される運びとなった経緯があります。今般、初代の特命全権大使としてハイチに着任し、その任務と責任の重さに覚悟を新たにしているところです。
 
 ハイチは伝統的に日本の友好国であり、これまで日本は、たとえば2010年の大地震に際して緊急援助や国連PKOへの自衛隊施設部隊の派遣などの各種支援を実施したほか、それ以降も、保健、教育、農業、防災の分野等での基礎インフラ構築を中心に復興・開発支援を実施してきています。また、皆様のご記憶にも新しいと思いますが、本年8月にもハイチ南西部で大地震があり、多くの尊い命が失われ、甚大な被害が発生してしまいました。ハイチと同様に地震等の自然災害に見舞われることが多い日本は、ハイチに対する連帯感を表明し、緊急無償援助を実施しました。
今後も日本大使として、これまで育まれてきた日本とハイチの友好関係の一層の増進のため、関係者の皆様と力を合わせて取り組んでいく所存です。
 
 ハイチは、フランス植民地時代には「カリブ海の真珠」と呼ばれ、砂糖等のプランテーション栽培により当時のフランス経済を支える最も重要な拠点でしたが、今では、長年の政情不安、地震やハリケーン等の自然災害、治安悪化等により、政治的にも、経済的にも極めて厳しい状況にあります。特に、今年については、7月のモイーズ大統領暗殺事件、上述の8月のハイチ南西部における大地震(マグニチュード7.2)を想起される方も多いと思います。武装集団(ギャング)による身代金目的の誘拐事件の多発等、治安悪化にも常に注意が必要です。また、首都圏の石油ターミナルへの輸送トラックのアクセスを武装集団(ギャング)が妨害する事態が長期化していることにより、ガソリンスタンドの長期閉鎖、燃料不足に起因する電力不足、通信障害、飲料水工場の操業停止による水不足などが発生する事態にもなっています。

 大使館業務の最優先事項は在留邦人をはじめとする邦人の皆様の安全確保や危機管理であること、「大使館員は全員領事」との意識をもって、在留邦人や渡航邦人の方々には常に最新の治安・安全情報をお届けできるよう、引き続き全力で取り組む所存です。
皆様方には、大使館業務へのご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 
                                    令和3年12月
                                  特命全権大使
                                    久保 雄嗣