海外安全対策情報(2017年1月-3月)

平成29年5月5日
1 治安・社会情勢

(1)2017年1月~3月のハイチ治安情勢は,2017年2月7日をもって大統領選挙ほか一連の選挙に一区切りがついたものの,政党間の不満や生活環境等の改善に向けた各種デモ等は引き続き発生し,貧困層等の生活レベル等においてはただちに改善があるわけでもないことから各種犯罪統計的には大きな変動はない。ギャング等の掃討作戦も奏功しているが引き続きスラム街を中心にギャングの闘争も発生しており留意が必要である。なお,2016年10月のハリケーン・マシューによる主に南部における被害に加え,長引く降雨等による家屋,農業,インフラ等への影響が各地において発生しており,新政権発足までに継続していた高インフレ,通貨安の影響も緩和されていないことから,引き続き社会的な不安,不安定に留意が必要となっている。

(2)13年間駐留してきた国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)は,ハイチ国家警察(PNH)と連携してハイチの安定化,治安維持に貢献してきたが,3月には撤収に向けた方向性が示され,4月には2017年10月15日に向けて撤収が国連安保理において決定された。今後同部隊のプレゼンスは縮小していくこととなる。右に合わせて,後継PKOである国連ハイチ司法支援ミッション(MINUJUSTH)の派遣も決定されているが,これに不満を持つ者もいることから同不満がどの様に治安に影響し得るか留意が必要である。

(3)犯罪の約80%,デモの約60%が人口の集中する首都周辺地域で発生しているのがハイチの特徴であり,強盗や誘拐については無防備な外国人や富裕層ばかりでなく一般のハイチ人もターゲットにされ,場所や時間帯を問わずバイクや自動車で尾行し,交差点や通行妨害等により停車したタイミングを狙い襲撃する手口や,レストランや銀行等での待ち伏せ,空港からの帰路を狙った強盗犯罪及び住居への押入り強盗等の手口がみられる。また,殺人事件等の犯罪における銃の使用率は高い。
 

 2 殺人・強盗等凶悪犯罪の事例及び一般犯罪の傾向

(1)強盗
《傾向》発生数に減少傾向は見られない。
《主な報道・事件》
3月20日 アリスティド元大統領はジャン・アンソニー・ナゼール(Jean Anthony NAZAIRE)元警察庁長官のマネーロンダリング関与疑惑に対する証人として司法宮に召喚され,ジャン・ウィルナー・モラン(Jean Wilner MORIN)裁判官からヒアリングを受けた。ヒアリングの後,同元大統領はハイチ国家警察(PNH)及びハイチ国家予備隊(特殊部隊:CIMO)による2車両の警護車と共に帰路に着いたものの,ポルトープランス中心のラリュ(Lalue)周辺で何者かによって銃撃を受け,銃弾は同元大統領の車両に命中し,ボディーガードが負傷した。なお,同元大統領は無傷であった。同犯人は依然逃亡している。

(2)殺人
《傾向》発生数に減少傾向は見られない。
《主な報道・事件》特になし。
 
(3)強姦 
《傾向》発生数に増加傾向が見られる。
《主な報道・事件》特になし。
 
(4)デモ(主な報道・事件)
《傾向》発生数に減少傾向にある。
《主な報道・事件》
ア 1月5日 上院議員として選出されたギー・フィリップが麻薬取引対策班(BLTS)
に逮捕された。逮捕の知らせ以降,南県及びグランダンス県では同氏の身柄解放を要求
するデモが起こっており,道路には燃やされたタイヤでバリケードが張られているほか,
警察署が襲撃に遭っている。

イ 3月3日 アルカイエ市サンタ-ド(Saintard)地域を中心にラトルトュ(Youri
 LATORTUE)上院議長に対する不満を持つ市民によるロードブロックや抗議活動等の騒動
が発生。デモ隊は,ハイチ政府関係者の車両(IT,SE及びOFナンバー)を停め,ペンキ等
で抗議の文言を直接車に書き込むなどの行動を行っており,それらは時折,投石や車を
燃やす等の暴力的行為にも発展している。
 
(5)麻薬 
《傾向》発生数は減少傾向にある。
《主な報道・事件》特になし。
 
(6)その他 
《主な報道・事件》
ア 2月9日 国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)の漸進的撤退の可能性について報じられた。

イ 3月12日 アルティボニット県ゴナイーブ市にて,カパイシアン(Cap Haitian)と首都ポルトープランス(Port-au-Prince)市間を運行する長距離バスが群衆(ララ)に突っ込み,38名が死亡,13人が怪我を負った。

ウ 3月29日 ジョヴネル・モイーズ(Jovenel MOISE)大統領の選挙公約を受け,ジャック・ギィ・ラフォンタン(Jack Guy LAFONTANT)首相は各省庁の大臣を大統領府に招集すると共に,同首相は国防大臣に対してハイチ軍再編の行程表を示した。
 
3 テロ・爆弾事件発生状況
当国においては当該事件の発生は認知されていない。
 
4 誘拐・脅迫事件発生状況
《傾向》発生数に減少傾向は見られない。
《主な報道・事件》特になし。
 
5 対日感情
対日感情は基本的に良好であり,特段の変化は見られない。
 
6 日本企業の安全に係わる諸問題
現在,当地に日本企業は存在していないが,当地でのビジネスを模索する企業にとっては,司法制度,治安情報を考慮した防犯対策及び交通機関等のインフラ環境が懸念材料となっている。
 
7 邦人安全対策のためにとられている具体的処置
当地へ来訪のNGO及びJICA関係者等に対し安全ブリーフィングを行い,必要に応じて,治安情勢及び注意喚起につき当館HP上に掲載すると共にメール一斉配信を実施している。


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