概要 |
マルモン地区とその近隣の地域は,中央県で最もサトウキビ栽培が盛んな地域です。ハイチではサトウキビの絞り汁をシロップやクレランと呼ばれる蒸留酒に加工するのが一般的ですが,同地域ではラパドゥーと呼ばれる黒糖の加工・販売が広く行なわれており,地域住民の重要な収入源となっています。
周辺地域には現在,およそ500ヘクタールのサトウキビ畑と約100の黒糖加工場があります。しかし,加工場で使われているサトウキビ用搾汁機は,木製の歯車を牛力で回す伝統的なもので,搾汁に時間がかかる上,約30%の果汁がバガスに残留しまま捨てられています。更に、果汁の加熱に使用する設備は、土製かまどに鉄釜を乗せた熱効率の悪いもので、薪などの燃料を大量に必要とします。また,近年の降水量減少によって,トウおモロコシやエンドウ豆などの作物の収穫量が低下し,零細農家の収入にダメージを与える中,多くの農家が,比較的干ばつに強く安定した収入が見込まれるサトウキビ栽培を行いたいと望んでいます。しかし,種苗を購入するための資金が十分に用意できないため,自力で生産作物を変更するのは困難な状況です。
本案件では,地元のNGOである「マルモン植林と教育のための行動委員会」によって,サトウキビ加工用施設(平屋建て)が建設され,必要な機材が整備されます。また,サトウキビ栽培のための土地(合計60ヘクタール)が整備され,サトウキビの苗(計350,000本)が定植されます。 |