ハイチ医療事情調査 2013年9月
4日、中央県県庁所在地HincheにあるHôpital Sainte ThérèseとMirebalaisにあるHôpital Universitaire de Mirebalaisを訪問しました。
1.Hôpital Sainte Thérèse
住所:Route des Lattes, Hinche
電話:3760-1465(院長携帯)
首都Port-au-Princeの北130Km、車で3時間の中央県県庁所在地Hincheの中心にある国立病院、旧飛行場の滑走路脇にありました。院長のDr.Jean Daniel LAGUERRE(外科医)に案内頂きました。病床数は200床、医師は30名居て内科、外科、産婦人科、小児科、整形外科、眼科、泌尿器科を標榜しています。耳鼻科はありません。血液銀行があり、外科手術を月150例、分娩を200例行っているそうです。救急は24時間、小児科救急、成人救急を各医師1名が対応し、必要に応じて専門医をコールします。入り口から建物の中央が救急室(成人)、4台のストレッチャーをベットとして使用、他にモニターも何もありません。次いで検査室を見ましたが大勢の技師が、血液、尿、便、の検査に当たり、寄生虫、細菌検査も行っていました。機械は旧式です。レントゲン室は旧式の単純撮影機が1台稼働していました。CTは有りません。手術室は3室有るそうです。小児救急室には10床あり、患児で埋まっていました。隣に来月新生児室がオープンします。ICU2室に渡り各3ベット、5ベット有るのですが、モニターが有るだけです。院内には廊下に患者、家族があふれていていました。コレラは下火になり現在はCTCに1、2名が入院しているだけだそうです。
インターネットの情報では
(http://www.alterpress.org/spip.php?article14572)
ここの受診者の半数が交通事故の犠牲者で有り、今年2月から5月の3ヶ月で321名(内子供54名)が交通事故だったそうです。しかるに対応する整形外科医は週3回NGO、Zanmi Lasanteから派遣される1名だけだそうです。
緊急時であっても可及的にここから1時間のMirebalaisにあるHôpital Universitaire de Mirebalais を受診する方が良いと思われます。
2.Hôpital Universitaire de Mirebalais
住所:Chatulée (Route du pont), Mirebalais
電話:2276-1001/2276-1002/2276/1003
Mirebalaisの中心から西へ車で5分程、広大な敷地に白い建物が並ぶ大学病院、2010年のハイチ地震後に計画され、2013年3月に患者を受け入れ始めました。運営は保健省とNGO,Partners In Health/ Zanmi Lasanteが行い運営費年間1300万米ドルをまかなっています。PIH/ Zanmi Lasanteは保健分野でハイチ最大のNGOで中央県、Artibonite県で12カ所の病院、クリニックを運営しています。医師のDr. Regan MARSHに御案内頂きました。彼女はハーバード大学関連病院のBringham and Women`s &Faulkner Hospitalsの救急医だそうです。救急外来とCTを見せて頂きました。病床は320床、現在は147床を開き、救急、内科、外科、産婦人科、小児科、新生児科が診療を行っています。分娩は月150例あり、新生児室は12床あります。医師は30名、アメリカからはHarvard大学、Duke大学から交代で医師がやって来ます。大学病院と言っても医学生は受け入れず、レジデントを受け入れ(10月1日より内科、外科、小児科、計12名)専門医を養成するそうです。手術室は6室(内2室を使用開始)あります。救急室は大部屋で14床がカーテンで仕切られ各ブースにはモニター、酸素、吸引器があります。患者を見渡せるナースステーションにはエコ-、レントゲン、患者の病変の画像がデジタルオンラインで見ることが出来ます。「人工呼吸器は無いのか?」と訪ねるとICUは2014年に12床開設されるそうでした。CTの機械を見せてもらいましたが、16列のキャスターが付いた移動式のCTでバッテリーで駆動するそうです。電圧の不安定な低開発国向けに開発された機械です。
2014年には250ベットを稼働させる予定で、順次他の専門科も開いてレジデントの養成を始めるそうです。設備と言い技術と言い、信頼の置ける病院です。 |