ハイチ医療事情調査
                                                                                                                2013年6月
 

 

  5日、北県県庁所在地Cap HaitienにあるHôpital Universitaire Justinienと世界遺産CitadelleのあるMilotのCRUDEM Foundationが運営するHôpital Sacré Coeurを訪問しました。

1.Hôpital Universitaire Justinie
住所:123, rue 17 Q, Cap Haitien
電話:2262-1205/2262-1206/2262-0512
 

  首都Port-au-Princeの北、飛行機で25分のハイチ第二の都市Cap Haitienの中心、1774年建設のカテドラルから少し山側にある国立病院、1890年に施療院として開かれ、1920年、米国占領中に病院となりました。院長のDr.Jean-Garcia  COQ(医療部門:外科医)とDr.Jean-Géto DUBÉ(行政部門)にお話を伺いました。入院ベット250床、内科、家庭医学科、外科、小児科、産婦人科、泌尿器科、整形外科、耳鼻咽喉科、眼科、麻酔科、放射線科、検査科、薬局が広い敷地に散らばっています。医師は45名、教育病院として医学部のあるUnibersité  Notre-Dame d`HaitiやUniversité Quisqueyaから7年生(レジデント)60名を受け入れています。また全身麻酔も行う麻酔看護師10名を養成しています。救急、レントゲン、検査室、病室を案内して頂きました。
 救急の場合、まず受け付け棟に行き受診し、必要に応じてzone rouge, zone vertと重症度で分けられた一般病棟で治療を受けます。重症例はイスラエルが寄贈した別棟の救急棟に行きます。プレハブ風の建物で床が歩くとへこんでしまいます。2室病室が有りICU4床、外傷患者用に3床あり、医師1名、レジデント2名、麻酔看護師1名が治療に当たっていますが、モニターも不足して、時に酸素が無くなる事もあるそうです。訪問時には1名外傷ベットに患者さんが居るだけでした。Hôpital Universitaire Justinienのすぐ側に、Centre d`Urgence Traumatologique de l`OFATMAと言う新しい建物の施設が有り、違いを訪ねると「あちらは手、足、頭の軽度の外傷を扱い、こちらは内臓外傷を扱う」と言っていました。手術室は外科棟に3室、眼科、整形外科、泌尿器科等外科系の診療科が、それぞれ手術室を持っているそうです。
 放射線科には古い建物に古い一般撮影機2台が有りますが1台は故障して動かず、そばに汚れきった現像室がありました。救急棟より重症患者を運び撮影することは不可能です。CT,MRIはありません。
 検査棟はブラジルが建てた立派な建物でした。血液銀行も有り30袋ぐらいの血液が保存されていました。検査室は広く机の上には新しい顕微鏡、検査機器が並んでいましたが、水曜日の午後3時ですが誰も働いていません。午前中は17名、夜間も2名働いているそうですが。
 一部しか見ていないのですが、活気、機材も無く、時間外の受診は医療機関として不安を感じる病院でした。
 
2.Hôpital Sacré Coeur
住所:Milotの町の中心部
電話:3848-5808
HP:  http://www.crudem.org
 

  1968年創設のCRUDEM(Center for the Rural Development of Milot)財団が25年前、Milotの別の場所に診療所が開き、その後現在の場所に移り拡張され病院となりました。14年前から産婦人科医として働き現在は院長のDr.Harold PRÉVILにお話を伺いました。病床は122床、2009年のハイチ地震までは73床だったそうですが、復興の過程で増床されたそうで、倉庫室や大型テントも使って診療に当たっているそうです。内科、外科、小児科、産婦人科、放射線科、整形外科、歯科が有り、医師はハイチ人医師16名(内、外科医3人、整形外科医1名)、職員は350名居ます。他に常にアメリカからのボランティアがやって来て2012年には633名の医療ボランティア、19名の専門医が平均1週間、診療や教育のために訪れました。訪問時もマイアミ小児病院の形成外科チーム6名、ボストンから内科医1名、救急医1名、TUFTS大学から5名の学生が来て活動を行っていました。2012年の統計では入院5633名、手術888例、1128例の出産、8151例にエイズ検査・カウンセリング、延べ12059名に抗レトロウイルス薬を処方したそうです。因みにハイチではHIV陽性率は2~2.5%だそうです。案内され検査棟に行くと、天井から検査名の書いた札がぶら下がり、その下で検査士が忙しく働いていました。マラリア、結核、ウイルス検査も行い、血液銀行も有り沢山の血液が保存されていました。救急室、手術室3室、ICU8床、術後回復室10床、モニターも設置されており、満室でした。産婦人科病棟では分娩室(分娩台2台)、新生児室(保育器2台)、手術室(帝王切開)1室があり、ベットが足りないときは廊下に簡易ベットを並べて収容することもあるそうです。放射線では一般撮影だけが行え、CT,MRIはありません。臨床検査室には心電計とエコーが1台有りました。道を挟んだ敷地には、装具室、リハビリ室、倉庫、機器修理工場、酸素分離工場、大型テントの外来棟、外科病棟、等が並んでいました。酸素はハイチでは供給が不安定で、必要に迫られ工場を作ったそうで、大型ボンベが並んでいました。
 診察料は25グルド(約50円)、待合室、廊下にも患者さんがあふれています。手術室、病棟、病室には職員、ボランティア、制服を着た看護学生が忙しく働き、活気に満ちた病院でした。院長に「世界遺産のシタデルを訪れる邦人が、ケガ、病気の時はよろしくお願いします」とお願いすると快諾して下さいました。英語を話す職員も多数居り、十分に対応してもらえると思います。

 

以上

 

 

 
 
 

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