ハイチ医療事情調査                   2013年2月
 

27日、首都Port-au-Princeから車で3時間半の南東県JacmelにあるHôpital Saint MichelとIPPF/WHR(国際家族計画連盟・西半球地域)・PROFAMILが運営するクリニックを訪問しました。

1.Hôpital Saint Michel de Jacmel
住所:rue Exina Gilles, Jacmel
電話:3666-3313/3463-2648
 

Jacmel市街の脇を流れるGrande Rivière de Jacmel(河口近く川幅は300mあり、水害から守る護岸工事が完成しています)を見下ろす高台にある51床の病院、内科、小児科、産婦人科、外科、整形外科を標榜しています。院長の元上院議員Dr.Newton JEUDI に案内して戴きました。医師は26名(外科3名、整形外科2名、内科3名、小児科4名、産婦人科3名、麻酔科2名、他)居るそうですが、麻酔医は週末にしかPort-au-Princeからやって来ないそうです。救急は内科医が兼任で当たっています。敷地いっぱい各科の建物が並んでいますが2010年1月の地震で倒壊し使用されていない建物もあります。この為、日本は「南東県ジャクメル病院整備計画」を近々実施予定で、一部建物を残し取り壊した後に外来、救急、手術室、検査室、レントゲン室、分娩室、病棟を備えた建物を建設します。また隣にカナダ赤十字が同じく小児科病棟他を建設する予定です。産科では月400~500例の外来、160~180例の分娩(内75例が入院)をこなしています。レントゲン撮影装置は1台稼働しています。小児科は28床、入院例で多いのは栄養失調、感染症だそうです。患児はマラリア感染を防ぐため蚊帳に入っています。薬局には見る限り薬品棚にはわずかな薬しか並んでいませんでした。患者さんは25グルド(50円)の初診料を払い、処方された薬はここで購入します。ワクチンは南東県の接種ワクチンを隣の別管理の倉庫で保管しています。その脇にCTC(コレラ治療センター)があり、現在4名の患者さんが入院していました。血液センターの建物は新しくハイチ赤十字が運営しています。月80~100名の採血を行うそうですが、感染症チェックはサンプルをPort-au-Princeに送り行っています。待合室には血液を入れる保冷ジャーを持った家族が座って待っていました。

 

2.IPPF PROFAMIL Clinique
住所:22, rue Sainte Anne, Jacmel
電話:2288-2942

 IPPF/WHR(国際家族計画連盟・西半球地域)とNGO PROFAMILが運営するリプロダクティブヘルスのクリニック。医師1名、看護師1名、助産師3名、検査技師1名が勤務しています。院長のDr.Ernest DESIRはJICAの研修で熊本、福岡、広島に行かれました。2010年の地震で損害を受けたクリニックから別の場所に日本の草の根無償資金協力により建て直され、2012年12月に未完成ながら転居しています。婦人科診察室、妊婦検診、家族計画指導、小手術室(卵管結紮、乳腺生検)、検査室(末血、尿、梅毒、ヘモグロビンS)があります。ハイチでは初性交は15~16歳、初産は変動はあるものの若いそうです。HIVの感染率はジャクメルでは、かつて5%を超えていたそうですが、現在は2.1%に下がっているそうです。ここでは分娩は行っていません。St.Michel病院と連携し、そちらで行っています。UNFPA, UNICEF, WHO, World Bankが2012年発表したTrends in Maternal Mortality : 1990 – 2010に寄ると、妊産婦死亡率(対10万出産)は、ハイチ350、ドミニカ共和国150、キューバ73、日本5、と飛び抜けて高く、ここでの活動の成果が望まれます。

 

 
 
 

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