2011年6月 首都Port-au-Princeから西へ30Km、車で1時間半のLeoganeにある国立結核療養所、所長のシスターMolineyと須藤昭子医師に案内していただきました。須藤シスターはカナダにあるクリスト・ロア宣教修道女会から49歳の時にハイチに派遣され、以来35年間、この療養所で診療、管理をされています。昨年10月に発刊された岩波ブックレット794巻「ハイチ復興への祈り-80歳の国際支援」に現在までの経過を書いておられます。国道から入ると右手にプエルトリコのNGOが運営する小学校の教室が並んでいます。近在の貧しい子供に教育を行っています。2010年1月12日の大地震は震源はここのすぐ近くで、病棟他主な建物は皆崩壊していました。現在は50人余りの患者がテントの病室に入院して治療を受けています。胸腔穿刺を行う処置用のテントもあります。道を挟んだ敷地にスイス赤十字が山小屋の様な4人入れる仮設の病棟を15棟建設中で13棟が出来上がっていました。水場も崩壊して、今は炊事・洗濯等すべてを一つの井戸でまかなっています。壊れた給水塔は草の根無償資金協力で再建中です。またハイチ派遣国際救援隊(MINUSTAH)に要請し、日本部隊により5日前から洗濯場の再建が始まっていました。ブルーのヘルメットを被った隊員20名余りは、近くのスリランカ部隊の駐屯地に1週間交代で寝泊まりし、6週の予定で完成させるそうです。医師は保健省から2名、研修医(Service Social)3名が週に3回交代でやってきて治療に当たっています。また外来およびエイズを合併した患者は、GHESKIOが運営する外来棟(医師3名)で行っています。GHESKIOとはカポジ肉腫、その他の日和見感染の研究グループで、コーネル大学の技術支援の下、ハイチ保健省と協力して国内各地で診療・研究を行っています。この外来棟には20年前に日本の供与によりレントゲン撮影機器が入っているのですが、電圧不安定の為にすぐ壊れて今も使えないまま残っています。ここでは喀痰検査(一般、好酸菌)を行っています。エイズ患者の50%が結核を合併しているそうで、外に横になっている患者さんは、一見しただけで栄養不良、カポジ肉腫からエイズ患者と判りました。結核患者の3%は多剤耐性結核(MDRTB)でGHESKIOはポルトープランスの米大近くにMDRのテント村を運営しているそうです。保健省は、ここを再建するに当たり、結核以外の呼吸器疾患を扱う呼吸器病院にしたい意向があるそうですが、須藤シスターは「保健省にそんな管理は出来ない」と否定的です。瓦礫が片付けられた敷地にどのように再建するかは未だ確定していません。
2.Hospital Sainte Croix 結核療養所から国道に沿って200mの所にあるクリスト・ロア宣教修道女会の敷地内にある14床の病院。初めはレプラの治療を目的としていましたが、現在はフィラリア症の治療病院となっています。アメリカ インディアナ州にあるノートルダム大学から医師が派遣されていて、丁度泌尿器科教授が一ヶ月間来られていて、フィラリア感染による陰嚢水腫の手術を連日行っておられました。レオガンは北県のミロ(Milot)と共に高度のフィラリア汚染地域で、ここの住民の60%がフィラリアに感染しているそうです。ハイチ人の院長Dr.LUCCENEと短期滞在の医師が診療に当たっています。男女各1室の病室、手術室1室、処置室、簡易検査室があります。
3.Centre de Transfusion Sanguine(赤十字輸血センター)
供血した人に対し保存してある血液が渡される仕組みです。感染症はB型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV、HTLV-1、HTLV-2を調べていますが、マラリア、フィラリアについては行っていません。入り口を入って直ぐの待合室には保温ポットを下げた供血者が沢山待っています。そして奥にある採血室で450mlの採血が行われます。輸血は無料で、供血に対する対価もありません。2010年1月の地震以前は成分輸血も行っていましたが、現在は全血輸血のみ可能です。1日の供血者は15~25人、建物の前には日本が供与した移動採血車があり現在も使っています。
4.Polyclinique de la rue Lambert 大使館から車で3分の診療所、入院設備はありません。外科医2人、泌尿器科医1人、歯科医1人、検査技師1人がいて、日中のみ診療、一般血液・尿検査を行っています。外科医のPhillipe ROUSSEAUにお話を伺いましたが、ここでは小切開、穿刺の処置を行い、手術はCnape Vert病院で行うそうです。歯科医Dr.Sophia NAZONは米大の医師リストに名前が載っている歯科医です。
5.Clinique Lambert 上記クリニックと紛らわしいのですが、同じ通りにある病院です。Unite Chirurgicale
医務官所感 |
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