安全の手引き2019

目次

 
 1 防犯の基本的な心構え
  (1)自分の身は自分で守る
  (2)予防こそが最良の危機管理
  (3)最悪に備えるも,行動は冷静に
  (4)安全のための3原則
  (5)現地に早く溶け込む
  (6)精神衛生と健康管理

 2 最近の犯罪発生状況
  (1)犯罪発生状況
  (2)犯罪被害危険地域
  (3)犯罪傾向
  (4)日本人の被害例

 3 防犯のための具体的注意事項
  (1)宿泊先
  (2)住居
  (3)外出時
  (4)その他

 4 交通事情と事故対策
  (1)交通事情
  (2)事故対策

 5 テロ・誘拐対策
  (1)テロ対策
  (2)誘拐対策

 6 災害事情と対策
  (1)災害事情
  (2)災害対策
 
 7 緊急連絡先等
  (1)主要緊急連絡先
  (2)警察,救急,消防等
  (3)病院
  (4)滞在許可
  (5)観光省
  (6)弁護士会
  (7)簡単な緊急連絡用語(フランス語)
 
III 在留邦人用緊急事態対処マニュアル
 1 平素の準備と心構え
  (1)連絡体制の整備
  (2)一時避難場所及び緊急時避難先
  (3)緊急事態における携行品等,非常用物資の準備

 2 緊急時の行動
  (1)心構え
  (2)情勢の把握
  (3)当大使館への通報等
  (4)国外への退避

 3 緊急事態に備えてのチェックリスト
  (1)旅券等
  (2)現金,貴金属,貯金通帳等の有価証券,クレジットカード
  (3)自動車の整備等
  (4)携行品の準備
 
IV 結語
 
 
 

I 序言

 この度,当国において皆様が安全に生活される上での安全の手引きを改訂いたしました。本手引きには,既に皆様が御承知のこともあるかもしれませんが,危険を事前に回避し,安心して生活するために日頃心がけておくべきこと,参考にしていただきたいことを紹介しています。自分自身で安全対策を考える際の参考として本手引きを活用いただければ幸いです。
 海外生活の中では気の緩むこともあるかと思いますが,その隙を付いて入り込んでくるのが危険です。御自身の安全につきましては,日本での生活時以上に警戒することはもちろんのこと,日々,十分注意して日常生活を送っていただきたいと思います。

II 防犯の手引き

1 防犯の基本的な心構え

(1)自分の身は自分で守る
 日本は世界でも有数の「安全国」であるため,自己防衛意識が欠如しがちです。海外では,地域によって,頼るべき治安機関もあてにならない  こともあり,何よりも自分と家族の安全は自分達自身で守るという強い心構えが必要です。

(2)予防こそが最良の危機管理
 予防こそが最良の危機管理であることを肝に命じ,そのための努力を惜しまないようにしてください。

(3)最悪に備えるも,行動は冷静に
 「備えあれば,憂いなし」,常に最悪の事態を想定し,物心両面の準備を万全にしておく必要があります。
 
(4)安全のための3原則
 ア 目立たない
 イ 行動のパターン化を避ける
 ウ 用心を怠らない

(5)現地に早く溶け込む
 隣人や在留邦人等,情報や緊急時において相互に協力できる個人や組織と安全確保のためのネットワーク作りを心がけましょう。

(6)精神衛生と健康管理
 精神と身体のバランスを図ることが重要であり,適度な運動を行う等,自分なりにリラックスする方法を見つけましょう。必要なときに集中力を維持するためにも,精神と身体のバランスを保つよう留意しましょう。
 

2 最近の犯罪発生状況

(1)犯罪発生状況
 2010年1月12日の震災後,ハイチ国家警察によるスラム街を中心としたギャング等に対する掃討作戦も奏功しており,加えて新たに取締りを実施し治安維持の強化を図ってはいるものの,その反発で警察官や一般市民が巻き込まれる事案等も多く発生しています。また,主要都市では殺人や誘拐等の凶悪事件は継続して発生しており,司法制度が十分に機能していない状況の中,銃器へのアクセスが容易であるため凶悪犯罪の危険性は依然として高いと言えます。


(2)犯罪被害危険地域
 人口の集中する首都圏は,ハイチ全土における犯罪の約80%,デモの約60%が発生しており注意が必要です。
 治安が悪い地域は,都市部スラムに多く,ポルトープランス首都圏においてもハイチ最大のスラム街といわれるシテ・ソレイユ市のほか,ポルトープランス市のベレール地区及びマルティッサン地区,カルフール・フイユ地区,カルフール市,ペチョンビル市ジャルジースラム等です。
 デモについては首都圏を中心に,全国地方都市においても発生しています。特に首都ポルトープランス市シャン・ド・マルス広場周辺においてはデモ隊行進の発・終着点となる可能性が高く,首都圏の主要道路が通る地点であることからも特に注意が必要です。


(3)犯罪傾向
 強盗については,拳銃の使用率が極めて高く,無防備な外国人や富裕層ばかりでなく,一般のハイチ人もターゲットとされています。場所や時間帯を問わずバイクや自動車で尾行し,交差点や通行妨害等により停車したタイミングを狙い襲撃する手口や,女性の単独運転の車両等を狙いレストランや銀行等での待ち伏せ,空港からの帰路を狙った拳銃強盗や住居への押入り強盗等の手口が特に多くみられます。なお,拳銃強盗には,先ず被害者を撃ち,身動きがとれなくしてから物を奪う凶悪な手口も多発しております。また,富裕層や多額の金銭を保管している事務所が標的とされる強盗事件も発生しています。
 ハイチにおける殺人事件は「貧富の差」による嫉妬や,物を「盗った」「盗られた」といった諍いから発生する等,極めて短絡的動機によるケースが多くなっています。また,華美な服装や装飾品を付ける等,裕福そうな格好は犯罪を誘発しかねませんので御注意ください。
誘拐事件については,2010年1月12日の震災後,ハイチ国家警察によるギャング等の掃討作戦により,発生件数は減少傾向にありますが,引き続き注意が必要です。
 デモやストについては,与野党間の不満,生活環境の改善要求等の理由で頻繁に発生し,それらが過激化した際には,興奮状態となった参加者等が投石等の過激行動をとる場合があり,歩行者や通行車両が混乱に巻き込まれるケースがあります。また,ハイチ国家警察も催涙弾等を使用し,デモ鎮圧行動をとる場合があります。メディア等でデモ隊の動きを事前に察知し,近づかないようにしてください。

(4)日本人の被害例
 誘拐未遂,車上強盗が発生しています。
 

3 防犯のための具体的注意事項

(1)宿泊先
 常時武装警備員が配置されている等,セキュリティ・レベルの高いところを選ぶことを推奨します。

(2)住居   
 住居を選ぶ際は,周囲の環境が平穏かどうかに気を配るとともに,次の諸条件が満たされていることを推奨します。
 ア 警備員によって,出入口が常時管理されていること。
 イ 出入口及び敷地内に防犯灯や照明が完備されていること。
 ウ 塀の高さが2m以上で強固であること。
 エ 外塀周囲に樹木・電柱などの侵入の足場になる物がないこと。
 オ 外部から住居内部を容易にのぞくことができない構造になっていること。
 カ 門扉は外塀と同様の強度・高さがあること。
 キ 玄関扉及び扉の枠が頑丈であること(扉は鉄製が良いが,木製の場合は厚さ5cm以上の1枚板であること)。
 ク 玄関扉に,2つ以上の錠前及びドアチェーンが付いていること。
 ケ 玄関扉に,覗き穴,インターホン等の来訪者確認手段があること。
 コ 窓及び窓枠が頑丈であること。
 サ 集合住宅の場合は,侵入口になり得る窓に鉄格子が取付けてあること。
 シ 独立家屋の場合は,全ての窓,換気扇及びクーラー設置部等に鉄格子が取付けてあること。
 ス 避難室内には外部連絡用手段が確保されていること(寝室等に電話,携帯電話,無線機等があるかどうか)。

(3)外出時
 外出時には事件に巻き込まれないよう注意すると同時に,犯罪の標的にならないようにすることが大切です。普段から次の点を心がけてください。
 ア 危険な場所には近づかないこと。
 イ デモ隊に遭遇したら,速やかにその場を離れること。
 ウ 目立たない行動及び服装をすること。
 エ 貴重品や必要のない物は持ち歩かないこと。
 オ 徒歩は可能な限り避け,車を利用すること。
 カ 夜間の外出は極力避けること。
 キ 車両乗車時は全てのドアをロックし,窓を閉めること。
 ク 駐車・停車の際は,必ずキーを抜き,ドアロックをすること。
 ケ 車内に荷物を放置しないこと。
 コ 常に強い警戒心を持つこと。

(4)その他
 住居の防犯設備が充実していても,防犯意識が無くては有効ではありません。日常の生活の中でも常に防犯を意識するよう心がけてください。
 ア 使用人は身元のしっかりしている者を雇用すること。
 イ 近所等との関係は良好に保つこと。
 ウ 訪問者があってもすぐには扉を開けず,のぞき窓等から身元を確認すること(親しい知人であっても,見知らぬ人が一緒の時や非常識な時刻の訪問には十分注意すること)。
 エ 家族全員に安全に関する意識を徹底しておくこと。
 オ 電話機は寝室及び居間に設置することが望ましい。また,緊急連絡先リストを作成し,電話機付近及び子供でもわかるところに貼っておくこと。
 カ 携帯電話の場合は主要緊急連絡先をあらかじめ登録しておくこと。
 キ タクシーの利用を避けること(強盗等の犯罪,法外な金額の要求,車両の安全面等の問題がある)。
 ク 万一,誘拐や強盗等の被害に遭ってしまった場合は,絶対に抵抗せずに生命を最優先に慎重に対処すること。


4 交通事情と事故対策

(1)交通事情
 ア ハイチは米国と同じく,車は左ハンドル,右側通行です。また,日本で取得した国際免許証(1年間有効)で運転することができますが,以下の情況から自分で運転することはお勧めできません。
 イ 首都ポルトープランス市内においても,大多数の交差点には信号機が設置されておりません。強引に右左折を行う車両が多数存在し,交通ルールはないに等しく,マナーも技術も非常に悪いです。交通渋滞も各所で発生しています。
 また,路面状態も悪く,大きな穴があいている箇所も存在します。
 ウ 各県を結ぶ乗合バスが存在しますが,整備状況が悪く,運転も荒いため交通事故が多発しております。国民の足として,乗り合いタクシー(タプタプ)やバイクタクシーがありますが,スリ等の犯罪が多いため,利用は控えてください。

(2)事故対策
 ア 交通事故で大きな怪我を負ってしまうと,当国では満足な治療を受けることが大変困難です。また,事故を起こした際は,加害者が野次馬に集団暴行を受けることもあり得るため,必ず近くの警察官に知らせ,自身の安全確保を優先してください。
  (注:道交法上は,事故を起こしたら,被害者を助け,もし困難な場合には最寄りの警察に速やかに届けることとなっています。)
 イ 事故に巻き込まれないためにも次の点を心がけてください。
 (ア)地理に精通した者に運転を依頼,または同乗させること。インターネット上の地図は比較的利用できるレベルのものがあり,訪問先についてはなるべく事前に地図で確認を行っておくことが望ましい。
 (イ)交通マナーを守ること。
 (ウ)周囲に注意を払い,ほかの交通(車両,歩行者等)の特性,動きを良く見極めること。
 (エ)普段から車両の整備,点検を十分に行うこと。
 (オ)交通事故を起こし,負傷者がいる場合は,救急措置が可能であれば実施の上,直ちに救急車を呼ぶこと。事故が発生した場合には,加害者,被害者の如何を問わず責任の所在を明確にするため警察官の立ち会いを求め,事故調書を作成してもらうこと。ただし,事故の加害者がハイチ人の場合,自己負担を強いられることも多いので,示談の際は修理費用などを文書で確認しておくことが必要です。


5 テロ・誘拐対策

(1)テロ対策
 当国においては,現時点で,ISILをはじめとするイスラム過激派等国際的なテロ組織の存在は確認されておりません。

(2)誘拐対策  
 2(3)のとおり,誘拐事件については2010年1月12日の震災後,ハイチ国家警察(PNH)によるギャング等の掃討作戦により,発生件数は減少傾向にあります。しかしながら,少数の事件はいまだ発生しており,引き続き注意が必要です。 
 以下のことに十分注意して被害の未然防止に努めてください。また,不幸にして人質等になってしまった場合は犯人の指示に逆らうことなく慎重に対処してください。
 外務省海外安全ホームページ「海外安全パンフレット・資料,海外における脅迫・誘拐対策Q&A」   
 (https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html)も御参照ください。
 ア 目立たない
 まずは,被害の標的とされないように心掛けることが最重要ポイントです。不必要に目立つ服装や行動は避け,誘拐の対象とならないよう注意を払ってください。
 イ 強い警戒心
 強い警戒心を持ち,周囲に気を配ることで,相手が犯行を思いとどまる可能性もあります。相手に付け入る隙を与えないようにしてください。
 ウ 行動を予知されない
 誘拐を成功させるためには,通常犯人側も事前に綿密な調査を行うものです。通勤時間,経路,場所等,パターン化した行動は犯人側にとって計画を立てやすく危険であるため,時間を変更したり,同じ場所に行く場合でも複数の経路を使うなど,工夫を凝らした行動を心掛けるとともに,行動予定を不用意に他人には知らせないようにしてください。


6 災害事情と対策

(1) 災害事情
 ア ハリケーン
 (ア)2008年8月~9月,ハイチ北部のアルチボニット県(ゴナイーヴ市)を中心に全土を襲ったハリケーン「フェイ」,「グスタフ」,「ハンナ」,「アイク」による暴風及び豪雨の影響から河川が氾濫し,死亡・行方不明者だけでも1,000人以上と,甚大な被害が発生しました。
 また,2012年10月にはハリケーン「サンディ」の影響によりハイチ全土で52人の死者が出るなど,ハリケーン襲来のたびに多くの犠牲者を出しています。
 (イ)2016年10月4日から5日にかけて,ハイチ西部のグランダンス県及び南県を中心にハイチを襲ったハリケーン「マシュー」による暴雨及び豪雨の影響から,多くの市街地,農地,森林,橋及び主要幹線道路に,浸水や破損等の甚大な被害を受け,ハイチ全土で546人の死者が出るなど多くの犠牲者を出しています。
 また,災害後は各国の援助が行われるなか,支援物資の略奪や物資輸送車両への襲撃等の事件が発生し,衛生上の問題によりコレラ感染疑い総数が5,000件を超える等の問題も発生しました。
 (ウ)2017年9月,ハリケーン「イルマ」,「マリア」の直撃はなかったものの暴雨及び豪雨の影響が主に北部で広範囲に発生しました。
 当国では無計画な森林伐採により森林は国土面積の3%未満しかなく,大雨が降ると大規模な洪水が起こる可能性が十分ありますので,平素から災害に備えた心構えと準備が必要です。
 イ 地震
 (ア)2010年1月12日には,マグニチュード(M)7.0の地震が発生し,30万人以上の死者が出ており,震災直後には食糧等を求めた略奪等が多発するなど大変危険な状況が続きました。
 (イ)2018年10月6日には,北西県ポール・ド・ペ(Port-de-Paix)においてマグニチュード5.9の地震が発生し,死傷者や住居等の倒壊を含む甚大な被害が発生しました。
 当国では建設物が脆弱であり,施設滞在時や建物入居時は可能な範囲で耐震面への考慮が必要です。
 
 
(2)災害対策
 自然災害を個人で予防することは困難ですが,いち早く避難することにより被害を最小限に抑えることは可能です。次の点を心がけてください。
 ア テレビ,ラジオ,新聞等で気象情報を把握する。
 イ 周囲の地理はどのようになっているか。海岸,崖,山の斜面,立木等の有無。
 ウ 滞在している場所の建物の構造,家屋内の構造について確認する。
 エ 避難時に必要な物品,貴重品,食料,懐中電灯,ラジオ等は整理して準備しておく。


7 緊急連絡先等

(1)主要緊急連絡先(国番号509)
 ア 在ハイチ日本国大使館
   住所:AMBASSADE DU JAPON
       Hexagone 2F, Angle Rues Clerveaux et Darguin,Petion-Ville, HAITI
   電話:2256-5885/3333
   FAX:2256-9444
   携帯電話:3486-6992,4647-5404
   ※携帯電話は,午後04時45分~午前08時15分の厳に緊急事態(生命にかかわる事態)である場合のみの対応となります。
   在外公館ホームページ:http://www.ht.emb-japan.go.jp/j/
 イ 外務本省
 (ア) 外務省領事サービスセンター
     住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
     電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902,2903
 (イ)外務省関係課室連絡先
   I 領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)2306
   II 領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
   III 領事局政策課(海外医療情報)(内線)5367
   IV 海外安全ホームページ
  https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
   http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)


(2)警察,救急,消防等
 ア 警察(CRO:国家警察情報機関)
    日本で言うところの110番通報
    3838-1111,3839-1111,2241-1111
    2242-1111,3836-1111
 イ 救急
    116,3703-1116,4890-6778
 ウ 消防(SNI:国家消防機関)CRO組織の一部
    114,3945-1111

(3)病院
 ア ベルナールド・ムブズ病院(Bernard Mevs)
    住所:Boulevard Toussaint Louverture,entrée village Solidarité,Port-au-Prince,Haiti
    電話 :2813-0659(緊急),3701-8901
 イ カナペベール病院(Hopital de Canape Vert)
    住所:83, Route du Canapé Vert ,Port-au-Prince,Haiti
       電話:2812-0505(緊急),2813-7495
    ※別途医師の手配が必要

(4)滞在許可
 入国移民局(Bureau de l’immigration) 3849-1599
 ※入国査証については,90日以内の観光目的で,ハイチから出国するための予約済み航空券を所持する方に限り必要ありません。ただし,入国時の旅券残存期間が6か月以上あることが必要です。なお,無査証での入国後,滞在期間が90日を超過する場合には,ハイチの入国移民局へ申請する必要があります。

(5)観光省(Ministere de Tourisme)2816-3203

(6)弁護士会(Barreau de Port-au-Prince)4684-6606
 
(7)簡単な緊急連絡用語(フランス語)
  「泥棒」         Au voleur    (オ・ヴォルール)
     「助けて」               Au secours   (オ・スクール)
  「捕まえて」             Attrapez    (アトラペ)
  「火事だ」               Au feu     (オ・フー) 
  「警察を呼んでくれ」   Appelez la police(アプレ・ラ・ポリス)
 

III 在留邦人用緊急事態対処マニュアル

1 当地における緊急事態
(1)2004年2月,反政府武装勢力の侵攻が首都近くまで迫って来たため,当大使館も一時閉鎖の上,全館員が退避
(2)2008年4月,食料価格高騰に対する暴動により全館員の退避を検討
(3)2010年1月12日の大震災の際には,その影響により日本大使館建物が被害を受け,一部の在留邦人についても緊急退避を実施
(4)2018年7月,燃料費等の値上げが公表されたことによる国民の反発により,首都圏ほかにおいて一時大規模な抗議行動(広範囲に渡る道路封鎖や略奪行為)が発生し,一時大使館を臨時休館
(5)2019年2月,大統領就任2周年に合わせた反政府デモ参加者等の暴徒化,略奪行為,ロードブロック,投石,放火,治安部隊との衝突などの暴力行為が発生し,一時大使館を臨時休館

2 当国においては,依然として国内情勢は政治面,治安面で不安定であり,生活環境に不満を持った人々やギャング団による犯罪,内乱,暴動,またハリケーンや地震といった災害等の際にも当地の脆弱なインフラ環境により被害が拡大し,緊急事態となる可能性は依然排除できません。
 
 緊急事態発生の際には,当大使館としても全力でその対応にあたりますが,そのような状況下では,各自が責任をもって自己の安全対策に万全を期するよう努力することが必要です。そこで当大使館では,そのような時に在留邦人の方に的確,迅速に対応できるよう以下のとおり必要な点をまとめてみました。在留邦人の皆様は本項目を参考に,緊急時には落ち着いて対処できるよう心がけてください。
 

1 平素の準備と心構え

(1)連絡体制の整備  
 ア 3か月以上ハイチに滞在される方は必ず在留届を提出するようお願いいたします。また,記載事項に変更が生じた場合(住所,電話番号の変更を含む)及び帰国の際にもその旨をお伝えください。在留届の提出には外務省HP経由でORRネットでの手続きをお勧めします。在留届電子届出システム(ORRネットの登録: http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ )により登録できます。
 イ 3か月未満の場合は「たびレジ」に登録してください。(たびレジの登録: https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができます。また,家族や友人,職場等に日程や渡航先での滞在先や連絡先を伝えておくようにしてください。
 ウ 緊急事態発生の際には,当大使館より情報を提供するとともに必要な案内・助言を行います。

(2)一時避難場所及び緊急時避難先
 ア 一時避難場所の検討    
 内乱等による戦闘,騒乱に巻き込まれる可能性がある時は,常に周囲の状況に注意を払い,情報を収集し危険な場所に近づかないよう心がけてください。巻き込まれそうになった場合の取りあえずの避難場所(勤務先,通勤通学路上のホテル及び自宅等,比較的安全と考えられる建物)について,常日頃から頭に入れておくことが重要であり,自分がどこにいるか,自分がどのような事態に巻き込まれそうか等幾つかのケースをあらかじめ想定して各自の一時退避場所を検討しておいてください(外部との連絡が可能な場所が望ましい)。
 イ 緊急時避難先   
 当大使館への集結(または状況に応じ近隣において比較的安全と考慮される場所等)を案内することがあります。当大使館の位置を確認し,そこに至るルート,外出先での緊急時の避難場所について幾つかのケースを想定し,検討しておいてください。

(3)緊急事態における携行品等,非常用物資の準備  
 ア 旅券,現金(アメリカドル及びハイチグルド),貴金属等最低限必要なものは,直ちに持ち出せるようあらかじめまとめて保管しておいてください。
 イ 緊急時には一定期間自宅での待機を案内することもありますので,飲料水,非常用食糧,医薬品,燃料等を最低限10日分,そしてFM付きラジオ,可能であれば短波ラジオを準備しておいてください。
 

2 緊急時の行動

(1)心構え
 緊急事態発生時または発生する恐れのある場合に,当大使館は邦人保護に万全を期すため,情報収集,情勢判断及び対策の策定を行い随時通報いたします。流言飛語(ハイチでは時々あります。また常時SNS等で接続する速度も速いので注意が必要です。)に惑わされたり,群集心理に巻き込まれることのないよう注意してください。

(2)情勢の把握
 ア 当大使館からの連絡は,基本的に電話及びEメールにて実施します。  
 イ 緊急事態発生の際には,ラジオ,テレビ等の視聴による情報収集を各自心がけてください。
 ※なお,当館より当地ラジオ局ラジオメトロポール(FM100.1MHz),NHK海外放送(短波,5910KHz。UTC02:00~04:00)へ緊急放送の依頼をする場合がございます。

(3)当大使館への通報等
 ア 現場の状況を通報する必要があると感じたら,随時,当大使館に直接通報してください。ほかの邦人の方への貴重な情報となります。
 イ 自分や自分の家族またはほかの邦人の生命・身体・財産に危害が及ぶか,または及ぶ恐れがあるときは,迅速かつ具体的にその状況を当大使館にお知らせください。
 ウ 緊急事態発生の際には,お互いに助け合って対応に当たることも必要になります。そのため,状況によっては,当大使館より在留邦人の方々にも種々の助力をお願いすることもありますので御協力いただけますようお願いいたします。

(4)国外への退避
 ア 事態が悪化し,各自の判断等により,あるいは当大使館の勧告により帰国または第三国へ退避する場合,その旨を当大使館へお知らせください(当大使館への連絡が困難である場合は,日本の外務省領事局等へ通報するようお願いいたします。)
  外務省領事局 海外邦人安全課
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2306
      (直通)03-5501-8160
  イ 日本の外務省渡航情報(危険情報)で「退避を勧告します」(または,「渡航の延期をおすすめします」(退避に関する情報を含む))が発出された場合には,一般商業便が運行している間に,それを利用して可能な限り早急に国外へ退避してください。なお,一般商業便の運行が停止した場合,あるいは座席の確保が著しく困難となった場合等にはチャーター便や各国の救援機(これらの利用に当たっては通常は片道料金の支払いが必要となります。但し,後払いが可能な場合もあります)状況によっては,陸路,海路を利用した退避が必要となることもあり得ますので,当大使館の案内を参考に行動してください。
 ウ 事態が切迫し,当大使館より退避または避難のための集結を案内された場合には,緊急時避難先(当大使館等)に集結してください。その際,しばらくの間同避難先で待機する必要がある場合も想定されますので可能であれば上記1(3)・(イ)の非常用物資を持参するようお願いします。また,緊急時には自分及び家族の生命,身体の安全を第一に考え,その他の携行荷物は必要最小限にするようお願いします。
 

3 緊急事態に備えてのチェックリスト 

(1)旅券等
 旅券については常時6か月以上の残存有効期間があることを確認しておいてください(6か月以下の場合には当大使館に再発給の申請をしてください)。旅券の最終頁の「所持人記載欄」は漏れなく記載しておいてください(下段に血液型(blood type)「何型RH±」と記入しておいてください)。
 なお,当国における外国人登録証明書,滞在許可証等はいつでも持ち出せる状態にしておいてください。

(2)現金(アメリカドル及びハイチグルド),貴金属,貯金通帳等の有価証券,クレジットカード
 これらの物は旅券同様に直ぐ持ち出せるよう保管しておいてください。現金は家族全員が10日間程度生活できる外貨及び当座を凌ぐための現地通貨をあらかじめ用意しておくことをお勧めします。なお,出国する場合の出国税及び空港使用税の用意も必要です。

(3)自動車の整備等
 ア 自動車をお持ちの方は常時整備しておくよう心がけてください。
 イ 燃料は常時十分入れておくようにしてください。
 ウ 車内には常時,懐中電灯,地図,ティッシュ等を備えおきください。
 エ 自動車をお持ちでない方は,近くに住む自動車をお持ちの方と平素から連絡をとり,必要な場合に同乗できるよう相談しておいてください。

(4)携行品の準備
 避難場所への移動を必要とする事態に備え,上記(ア)~(エ)に加え次の携行品を備えておいて,直ぐに持ち出せるようにしてください。
 ア 衣類・着替え(長袖,長ズボンが賢明。動きやすいもの。人目を引くような華美な物でないもの。麻,綿等吸湿性,耐暑性に富む素材が望まい。)
 イ 履物(動きやすく,靴底の厚い頑丈なもの)
 ウ 洗面用具(タオル,歯磨きセット,石鹸等)
 エ 非常用食糧等
 しばらく自宅待機する場合も想定して,米,調味料,缶詰類,インスタント食品,粉ミルク等の保存食及びミネラルウォーターを家族全員で10日間程度生活できる量を準備しておいてください。自宅から他の場所へ避難する際にはこの中からインスタント食品,缶詰類,粉ミルクを,また,ミネラルウォーターを入れた水筒(大型が望ましい)を携行するようにしてください。
 オ 医薬品等
 家族用常備薬の他,常用薬,外傷薬,消毒用石鹸,衛生綿,包帯,絆創等。
 カ ラジオ
 FM放送(首都圏に限る)及び可能ならばNHK海外放送等の短波放送が受信できるもの(電池の予備も忘れないようにしてください)。周波数や受信方法については,NHKホームページ(https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/ja/radio/howto/)を御参照下さい。
 放送時間
 (日本語):ハイチ時間21:00-23:00(※夏時間22:00-00:00)周波数:6105KHz(フランス中継局)
 (スペイン語):ハイチ時間23:00-23:30(※夏時間00:00-00:30)周波数:5985KHz(アメリカ中継局)
 
キ その他
 懐中電灯,予備バッテリー,ライター,ろうそく,マッチ,ナイフ,缶切り,栓抜き,紙製の食器,割り箸,固形燃料,簡単な炊事用具,可能ならヘルメット,防災頭巾(応急には椅子用クッション)。

 

 

 

IV 結語

 本手引きに記載された内容は,あくまでも基本的なものですので,自分自身で安全対策に関して本手引きを参考に再度御検討ください。
今後,本手引きを充実したものにしていくために,御意見等ございましたら些細なことでも構いませんので,遠慮無く大使館まで御連絡いただけましたら幸いです。